ねえ、今幸せなのかな?
















M.B.
























俺と朽木の関係は、何かあるのって言われたらまぁないとは言わない。
けど、あると言っても多分あまり他人は信じない。
あるっちゃあ関係はすごく強くあるはずだけど、俺本人でさえあるのか疑問。
そんな関係な気がする。
でも、つながってはいる。そう思う。
そう思っていたけど、てか、少なくとも隊長の中では一番親しくしているはずだった。
というより、一応つきあっている。
そのつもりだった。
どんな目で他人が俺のことを、白哉のことを見ようと、真実は違うのだと。

今日は、1月31日。
一月最後の日。
一般的には晦日とも言うはず。12月最後が大晦日だし。
月最終日には、定例会が毎回夕方に行われることになっていた。
一日、することを終えて集会に行く。
ここでは、ちょうど藍染が裏切って、かりそめの平和がまだまだ続きそう、そんな日々だった。
そして、あの一件のおかげで、朽木も妹とよくやっていることも周知の事実になっていた。
狛村隊長があの容姿だということが周知の事実になったことと同じように。
そのせいか、松本のほうから朽木と妹君の様子が耳に入ってくることも自然と多くなっていた。

「今日二人で朽木隊長、歩いてましたよー。いい感じで。
いいですよねー。」
とか
「今日二人であんみつを食べているところを目撃しましたっ!」
とか、耳に入らなくてもいい情報までどんどん入ってくる。
頼んでもいないのに。
・・・いや、別に何も関係がないなら聞き流せばいいだけだった。松本の話なんて。
妹とやっと意思の疎通ができて、喜ばしいことだし、そう思っていればいいだけの話だった。
あーそうか、そりゃよかったなー仕事仕事とか言っているはずだったんだ。
でも。
そう思えない。思えるはずがない。
最近、ろくに朽木に会っていないうえに、そんな親密そうな話聞かされて、苛々するだけ。
うらやましくなってしまうだけ。
こんな感情は認めたくないって思っていたけど、こうまで辛いと認めてしまいたくなった。
嫉妬めいた感情があるって。そう認めちゃったほうが楽だと思って。
その相手が妹だってこともわかってる。
普通なら、そういう対象になんかなりえないってこともわかってる。
馬鹿馬鹿しいってことだって、自分が一番よくわかってるよ。
でも、こうまで会わないでいると、・・・。辛い。
俺たちどういう関係なんだよって。
問いただしたくなる。


定例会に参加するため、まだ残っていた書類をできる限り片付けようと頑張っているとき、また松本から色々世間話を聞かされた。
「今度現世に旅行行くんですよー」
「そうか。」
「そういえば七緒がまた何か言ってましたー」
「ほう。」
松本の話なんていちいちちゃんと全部聞いていたら時間がどれだけあったって足りない。
片言で受け流しながら、目の前の書類を片付けていた。
そしたら、あまり聞きたくない名前まで飛び出してきた。

「朽木隊長、今日誕生日みたいですよー。」
・・・え?何でわかるんだ?
「何で知ってるんだ、そんなこと。」
できる限り平静を装って聞く。
松本には何も悟られはしなかったようだ。
「だって今日、ルキアさんが朽木隊長におめでとうございます、って言いながら何かわたしてましたもん。
誕生日なんじゃないですか?」
初耳だった。
朽木と、そういう話をしたことがまったくなかったから。
誕生日がいつとか、楽しいことがあったとか、そういうことを話す事がほとんどなかった。
楽しいこと、とかは話していたのかな・・・。
一緒にいて、楽しかったはずだし・・・。
でも、まったく知らないまま、今日は白哉の誕生日で、何も知らないまま夕方になってしまったってことだ。
それは、嫌だった。
俺たちはどういう関係なんだよって。
何もないようなことはしたくなかった。
何かあってほしかった。

だから、集会の帰り、朽木を呼び止めて。
そのまま朽木の部屋へ許可をとって同行して。
着いて、椅子にかけて、無言のままもう何分か。経ってしまっていた。
「・・・日番谷。」
いつもどおり、静寂を破るのは朽木だった。
「・・・何?」
「何じゃない、何か用があるんだろう?」
「・・・」
「言いたくない用なのか?」
「・・・」
はあ、とため息をつく音が聞こえたような気がした。
もう一度、沈黙。
その後。
覚悟を決めた俺は、やはり聞いてみることにした。
「・・・な、朽木って誕生日とかはいつなんだ?」
「・・・え?」
「っだから、誕生日いつなのか聞いてるんだよっ!」
「・・・日番谷。」
「・・・何。」
「お前、そんなことどこから聞いたんだ?」
「・・・」
「私はお前に、今日が誕生日だとか、そういうことを一切話した覚えはなかったが・・・どこから聞いたんだ?」
「別に・・・ただ、松本がそんな話してたから。」
「ルキアを通して・・・か?」
・・・鋭い。
確かに、今日妹君の行為を通して、耳に入ってきていて、どうしようもなくなって会いにきてしまった。
その通りだった。
俺も、実はそう思いながら。

「・・・俺、は、朽木のこと何も知らなかったから、何も用意してなかった、けど。
一応、聞いとこうと思った、から・・・っ」
うつむきながら、やっとのことでそこまで言う。
また、沈黙。

「冬獅郎。」
今度は、名前で呼ばれた。
「顔、上げて。」
「ん・・・」
何となく上げたら、さらに上げるよう顎に手をかけられて、目を見つめさせられる。
「お前からは、これだけでいいから。」
そう言われた後、唇にやわらかい感触を感じた。
本当に一瞬だったけれど。
「な・・・っ」
「どうした?」
「今、のって・・・!」
考えてみると、付き合い始めてこれが初めてだった。
「いいじゃないか、誕生日くらい、そういうことをしてみても。」
「う、ん・・・」
「どうした?やけに素直だな。」
「朽木が急にんなことするからだよっ!」
「んなことって何だ?」
「うるさいっ!」
「な、冬獅郎?」
「うるさい!朽木なんて嫌いだっ!」
「そうか、好きって思っていてくれるのなら、お前からも名前で呼んで欲しいものだな。」
「え・・・?」
「冬獅郎?」
こういうときだけ、卑怯だ。
「白、哉・・・。」
「今日は一緒に過ごす?」
「う、ん・・・。」
「お前の誕生日はいつだ?」
「まだまだ、後・・・。」
「そうか。」

他愛もない話をして。
夜が更けていく・・・。




























FIN.









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今更だけど、白哉さん、誕生日おめでとうございます!
いやね、忘れていたわけではないのです。
試験がもろ重なっていたので、祝えなかったのです。
いや、でも日番谷くんと私の入る隙間なんて蟻の入る隙間もないくらいにいちゃいちゃ過ごしたことでしょう。
いちゃいちゃした文章書いているわけでもないのにこういうこというのもなんだと思いますが。
二人で段々と仲良くなって恋人という関係になってくれればいいなって思います。
長期戦だと思いますが、頑張れ。(ヲイ
ここまで読んでくださってありがとうございました。
07.2.8