「オレが13番隊副隊長の志波海燕だ。よろしくなっ!」
「は・・はぁ」
「あぁ?こっちがよろしく言ってんだ。おまえも挨拶!それと名乗れ!」
「く・・朽木ルキアです・・。よろしくお願いします。」
「・・うっし!オーケーだルキア!この隊、隊長が病弱だからほとんどオレが仕切ってんだ。
だから隊長って呼んでくれてもいいぜ!」
「はぁ・・考えておきます。」
これはまさに私が求めていたものだった。



















ヨロコビ









「ルーキーアーっ!」

にゅっと上から・・・そう、上から海燕殿が出てきて目の前に現れた。
「ひぃ・・・」
私はいつも通りの反応をしてしまった。
「おまえさー、オレに会うたびひぃ・・とかいってんな。軽ーく傷つくんだけど。」
「はぁ・・」
「・・・・」
「・・・・」
「何でおまえがそんなに悩んでいるのか知らねーけど元気出せよ、ルキア」
「はぁ」
「おまえなぁっ。もっと『はぁ』以外に言うことないのかよ!?」
「はぁ・・」
「今言ったばかりなのにまた『はぁ』かっ!」
「い・・いえ・・」
ぽりぽりと海燕殿はそのとき頭をかいて苦笑いしていた。







少し間をおいて
「ルキア、これから廷内の見回りに俺は行くんだけど一緒に行こうぜ?」
「はい。」
「行くと決めたらさっそく行くぜ?斬刀もってこい。」
「はい。」
私は走って自分の斬魂刀を持ってきた。


走って戻ってくると、-----海燕殿は消えていた。
「か・・・海燕殿・・?」
私は急に不安になった。
「海燕殿っ!海燕殿ーっ!」
走りまわった。
一分が一時間にも感じられた。---------
「ん?どうした?何でおまえ言っておいた場所にいなかったんだ。迷ったんじゃないかとしんぱいしたんだぞ?」
「海燕殿-------っ」
「どうしたんだ、本当に、ルキア。」
私は恥ずかしいことに海燕殿のところに飛び込んでいってしまった。
「海燕殿・・・その場所にいらっしゃらなかったから、私、不安になってしまって・・・」
海燕殿はそのとき私の頭をやさしくたたいてくれた。
私はとても安心した。
「・・・やっとおまえ、俺に対して『はぁ』以外の言葉言ったな。」
「え・・・?」
「いや、なんでもない。じゃ、見回り行きますか!
もたもたしてるとおれが隊長に怒られるんだよ。西のほうから行くぞ!」
「はい」
私はこのとき海燕殿に今まで知らない何かを感じた。
そして、死神になってから初めて自分の居場所を
見つけたような気がした。
焦りを感じ、誰も周りにいない-----そんなキモチ。
海燕殿に会ってからそんなキモチはだんだんと吹っ飛んでいくような感じがした。
私はこのとき、とても安心で、そして---嬉しかった。
恋次にあってから一回感じて、学校に入ってからずっと痛かった心の
どこかが安らいでいった。
いつの間にか私はそれから海燕殿の側にいることが日頃の常になっていた。




「見回りで、廷内のだいたいの場所はわかっただろ?」
「はい。」
「ま、廷内はこんなもんだ。あぁ・・・でもまだ双極はみせてないか。」
「何なのですか?その双極って」
「あぁ・・あんまいいモンじゃないがな。隊長格の死神にだけ使われる、処刑道具なんだがな。」
「はぁ」
「ま、おまえもいつかみることもあるだろう。みてて気持ちよくないがな。」
「はぁ。」









そのとき、私は想像さえしていなかった・・・
まさかそれでそうなることなんて、想像さえできなかった・・・








死神の隊舎のほうにもうだいぶ近づいていた。
「じゃぁ、今日はこれでな、ルキア!」
「はい。」
「おまえ、明日はちゃんと起きろよっ?明日は13番隊の集会があるぞー?おまえの紹介もされるんじゃないか?」
「えっっ・・」
「何だ?イヤそーだな。どうしたんだ?」
「あ・・いえ・・」
はぁ。
このとき海燕殿はため息をついた。
「ま、おまえが言いたくないなら言わなくてもいいけどよ。ルキア。たまには発散しないといつかおまえが壊れちまうぜ?
いいな。ガマンもほどほどにな。じゃぁ、お休み、ルキア。またなっ!」
「はい。おやすみなさい。」
「ルキアー!何いうのか考えておけよー!」
海燕殿は遠くからそういった。







私はボーッとして自分の隊舎に戻った。
あんなことを言われたのは初めてだった。・・本当に。
恋次とは違った。
恋次にこんなキモチを抱いたことはなかった。・・一度も。
「海燕殿・・・」
しかし海燕殿には妻がいた。
この気持ちはたぶん・・いや違う、絶対に海燕殿を憧れ、尊敬しているからくるだけだ。
それだけだ。私は。






そんなシアワセもつかの間だった。
海燕殿は・・私の刀で殺めてしまった。
妻のあとを追って亡くなってしまった。



その後、だった。
現世で死神の力をなくしてしまった私は、一護に世話になってそこで暮らし始めた・・・。




FIN.






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海燕殿に惚れて授業中に製作。・・・。