出会いと別れ・・・・・・・・・・・
何故人は別れるために、それがわかっているのに出会いを望み愛されることをのぞむのだろう・・・・・
カクメイT
ある日、その国には雨が降っていた。
人々…国民の98%を占めるだろう平民たちの心の悲しみを表すような冷たい雨だった。
しかしここー王宮では、
一人の女の子―身分は内親王だが―
の誕生日のお祝いが華やかに行なわれていた。
国民たちの飢えを知らない王室。
女の子は好きなものをいっぱい食べ、とても幸せそうにはしゃぎ回っていた。
「…母さん。今日は食事は?」
同じとき、その少年の家の食事はなかった。
「今日は配給が少なかったんだよ。夜まで待っておくれ」
少年の母はすまなさそうにそう言った。
でもこれが今のこの国の状況だった。
その為かじわじわと不穏な動きもこの頃から目立つようにはなっていた。
いったいこの国はどのようになっていくのか・・・・知るものはいなかった。
まだ戦火は飛び交っていないこの時。
まだこの時のほうが幸せだったと思うのは何年後か。
あれから10年後。
革命を起こして生活を豊かにしたいと思う国民は次第に増えていった。
政府に、王室に知られないように、革命の動きは勢いを増していった。
「ねぇねぇ、私お外に行ってみたい!」
「今ね、お外は危ないことがいっぱいなの。
だから中で遊んでいようね?」
「でも生まれてからずっとそれでお外に行ったことがないんだもの・・・・」
この国の第一皇女である桃は、外に出してもらったことが一度もない。
行ったことがあるのは王宮の庭だけ。
外の状況を痛いほどわかっている国王は、
召使いにくれぐれも桃を外には出さないようにと注意している。
かわいい娘。
国の貴族の間では姉妹の中で一番美しいといわれている。
今外に出しでもしたら生きて帰ってこられるかさえ定かではないのだ。
窮屈な思いをさせているとはわかっていても、
ここにいさせないければと思っていた。
そう、今のこの国の状態はいつ何が起こってもおかしくない。
政府の圧制にしかれている今、外には銃を持った兵隊が常に至る所にいるし、
自分の命は自分で守らなければいけない状況で、
国民までもがいつでも武器をもっている。
小さな対立があちらこちらでおきていて、
毎日のように命が奪われていた。
今生きていても次の瞬間生きていられるとは限らない。
大切な人を守れるどころではない。
自分が生きるだけで精一杯。
そして------------自分が今この世からいなくなっても
気に留める人もいない。
そんな、国だった。
そして、この国で優雅に生きているのは王族と貴族のみ。
貴族といっても上流の貴族のみ。
それでも桃が外に出てみたいのは、
王宮からは美しい景色しか見ることができないからかもしれない。
そして知っているのは
文献の中の、
歴史書の中の、
国の状態だけだからからかもしれない。
かつては大陸の中心として栄えたこの地。
本の中のこの国は、
実際とは正反対の世界だった。
現在のことはまだ歴史ではないのだから-------。
ある日、とうとう桃は自分の足で王宮を抜け出した。
「ちょっとだけ、なら大丈夫よね・・・・・」
何も知らないといってよい
幼い少女はそのまま外へ行ってしまった。
これからおきる出会いを知るのはすぐ後。
また、この国の本当の姿を見るのはすぐ後。
そして悲劇を知るのはずっと後・・・
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雛ちゃんは皇女様ですよ!
もうかわいくてかわいくて父の白哉さんから溺愛されています。
召使いからも素直でいい子だと好かれています。
そして政略で国からの信頼も厚い○○さんと付き合うのですが・・・
って感じにしたいです。
お付き合いいただければ光栄です。