夢をかなえるために、
そして時に夢を打ち砕きに人は夢を追い求める。











カクメイU



















初めて外に出てみた桃は、窓から抜け出したのはいいが、なかなか城から出られなかった。
それもそのはず、
一国の城なのだから広いに決まっている。
しかも一度も出たことがないのだから、
当然城門がどこかなんて見当もつかなかった。


そのとき、幸か不幸かふと、話し声が聞こえた。
桃は見つからないようにと慌てて草むらに飛び込んで。
「・・・れから視察なんて大変ですね候。」
「あぁ。だけど白哉様のご命令だからな。仕方あるまい。」
「・・・本当に歩きで行かれるのですか?
今は危険な世の中ですし、せめて馬車をお出しになったほうが・・・。」
「視察に行くのに馬車を出してどうする。」
「ではせめて護衛だけでも・・・!」
「そんな心配しなくても大丈夫だ。
見送りはここまでで結構だ。・・行ってくる。」
「・・・は。行ってらっしゃいませ。」


この声は父様直属のギンさんの声。
ギンさんを心配している人の声はわからなかった。
でも、ギンさんについて行けば外へ行ける・・・・・
でも確実にギンの後をついていった。
見つからないように。
桃は華奢ではあったが体は軽いしよく動く。
召使いたちを何度も困らせていた。
すばやく隠れながら城門にはものの10分もしないうちにたどりつくことができた。



しかし。
そこには当然、守衛がいて。
視察のために外へ出るギンはもちろんここではすぐにパスすることができる。
しかし桃は-------
皇女であるのだから自分は守衛たちと初対面でも
あちらにとっては仕えるべき存在なのだ。
当然守衛たちは自分の顔を知っているだろう・・。

しかし、ここまできて桃はとてもあきらめられなかった。
生まれてはじめての広い世界。
この門の向こうには自分の知らない世界が無限に広がっていると思うと気持ちは抑えられない。
きれいな自分の国を一度でいいから見てみたい。
その気持ちだけは、とめられない。


桃は、思い切って出て行くことにした。
そのまま、正門から。
もしかしたら何とかなるかもしれない、という考えも少しあった。
追いかけられても。
何とかなるかもしれない・・・。





だっ・・・と桃は走り出した。
門番には目もくれずに。
門を通り過ぎて。
一瞬のことだった。
門番の人たちははじめ驚いて追いかけてもこなかった。
でもそんなにうまくいくはずもない。
皇女の桃が出て行ったとわかった守衛たちはすぐに追いかけてきた。
でも、結構離せている・・・。
しかし、あちらは王宮の中の召使いたちではなかった。
きちんと訓練を受けているのだ。
外で見張るという職業なのだから。

すぐに、追いつかれた。
「皇女さま!どうしたんです?」
そう言いながら走って追いかけてくる。
はぁはぁと息を切らせながら、それでも必死に逃げた。





---------そのとき、だった。
ふいに桃は自分の手を誰かにつかまれる感じがした。
感じがしたのではなくそれは現実だった。
「・・・追われているのか?」
「え、あ、その・・・・。」
「こっちに来い。手を放さずについて来い。」
「え・・・?」
「早く!兵に捕まりたいのか?」
そう言われ、何も言わずに、手を引かれるまま走っていった。
いつまでたっても引っ張り続けられる-------。
でも、その手は桃にとってとても心地よかった。
そのまま、ついて走った。



「---------ここまでくれば大丈夫だろ。・・・おい、大丈夫か?」
ゼーゼーと息を切らしている桃に彼は驚いてそう言った。
「・・・は、はい・・・だい、じょう・・・ぶ・・・です。」
そのとき桃は初めて彼の姿をみた。
自分と同じくらいか、またはちょっと年下だった。





「ありがとう。助けてくれて。・・・貴方、名前は?」
桃はそう聞いた--------。









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第二弾です。やっとです。
これだけはもうそのときの気分でおりゃー!!って感じで書いているので下書きとまったく違うことにもなっていたり。
雛ちゃんが会うのはもうです。
でも名前きくところは妄想が後から後からわいてきてしまうので
あとまわしにしました。
どうしようかな。
どうしよう。
何かこのままだともっともっと広がっていきそうです。
あと初めの言葉考えるのも好き。
あれでも考えているんですよ・・・。
こういうときに国語力がほしいと思います。(間違ってる)05.6.1